保険は、固定費の中でも金額が大きく、しかも長期間払い続ける項目です。見直しの効果は大きくなります。

ただし、他の固定費と決定的に違う点があります。間違えて減らすと、節約額とは比べものにならない損失になることです。通信費を下げすぎても不便なだけですが、保険を削りすぎると、必要なときにお金がありません。

だから保険の見直しは、「安い商品を探す」から始めてはいけません。順番があります。

見直しの順番

正しい順番は次のとおりです。

  1. 今の契約内容を書き出す(何に、いくら払い、いくら受け取れるのか)
  2. 必要な保障額を計算する(実際にいくら足りないのか)
  3. 公的な保障で賄われる範囲を引く
  4. 貯蓄で対応できる範囲を引く
  5. 残った金額が、保険で備えるべき額

商品の比較は5の後です。ここを飛ばして「安い保険」を探すと、必要な保障が足りない契約に乗り換えてしまうことがあります。

ステップ1|今の契約を書き出す

まず、現状を把握します。保険証券か、保険会社のマイページを開いてください。

書き出す項目は次のとおりです。

| 項目 | 確認する内容 ||---|---|| 保険の種類 | 死亡保障、医療、がん、就業不能、学資、個人年金など || 保険料 | 月額と、払込期間 || 保障額 | いくら受け取れるのか || 保障期間 | いつまで続くのか(定期か終身か) || 特約 | どんな特約が付いているか |

契約が複数ある場合は、全部を一枚に並べてください。同じ保障が重複していることに、ここで気づくことがあります。

とくに、勤務先の団体保険、共済、クレジットカードに付帯する保障は見落としがちです。すでに備えがあるのに、個人で同じものに入っていることがあります。

ステップ2|必要な保障額を計算する

死亡保障を例に考えます。必要なのは、残された家族がこれから必要とするお金から、入ってくるお金を引いた差額です。

出ていくお金(これから必要な額)

入ってくるお金

この差額が、生命保険で備えるべき金額です。

ステップ3|公的保障を引く

多くの人が見落とすのが、ここです。日本には公的な保障制度があり、それを前提にすると必要額が変わります。

遺族年金。要件を満たせば、遺族に年金が支給されます。金額は加入していた年金の種類、家族構成、子の年齢などで変わります。ねんきんネットや年金事務所で確認できます。

高額療養費制度。医療費の自己負担には、所得に応じた月額の上限があります。入院で何百万円もかかったとしても、自己負担はその上限までです。医療保険を検討する際は、この制度を前提に考えてください。

傷病手当金(健康保険の被保険者の場合)。病気やけがで働けない期間、一定の要件のもとで手当が支給されます。

団体信用生命保険。住宅ローンを組む際に加入していることが多く、契約者が死亡した場合などにローンの残債が完済されます。この場合、住居費は必要額から外れます。

これらを引くと、必要な保障額は思っていたより小さくなることがあります。逆に、自営業で厚生年金がない、子どもが小さい、といった場合は大きくなります。

制度の要件や金額は改定されます。 最新の内容は、日本年金機構や加入している健康保険の公式情報で確認してください。

ステップ4|削ってよいものと、そうでないもの

計算が済んだら、契約を整理します。判断の目安を挙げます。

見直しの余地が大きいもの

慎重に扱うべきもの

最後の点は特に重要です。新しい契約が成立してから、古い契約を解約する。この順序を守ってください。逆にすると、健康状態を理由に新規契約を断られ、無保険になることがあります。

ステップ5|相談先の選び方

自分で判断しきれない場合は相談することになりますが、相談先には性質の違いがあります。

どこに相談する場合でも、その人の収入がどこから来ているかを意識してください。悪意の話ではなく、立場によって見える選択肢が違うという話です。

相談前に、ステップ1〜3を自分でやっておくと、話が具体的になります。何も準備せずに行くと、提案された商品を評価する基準を持てません。

保険料の払い方で下がる分

保障内容を変えなくても、支払い方で下がることがあります。

ただし年払いは、まとまった支出が一度に来ます。家計の資金繰りを確認してから選んでください。

まとめ

保険の見直しの目的は「安くすること」ではなく「過不足をなくすこと」です。結果として下がることは多いですが、下げること自体を目的にすると、必要なときに困ります。

なお、この記事は制度の一般的な説明です。個別の契約について判断する際は、契約内容の確認と、必要に応じて専門家への相談を行ってください。